フロリダアップデートは、Google初のコアアップデートです。

検索結果(SERP)に大規模な順位変動を与えました。クリスマスシーズン検索結果(SERP)に大規模な順位変動を与えました。クリスマスシーズン直前の実施で多くの企業や店舗が廃業に追い込まれました。

Google検索エンジンの社会への影響力を示したアップデートでした。

佐藤 隆司

この記事は、こんな疑問に答えています。
・フロリダアップデートって何ですか?
・検索順位へのフロリダの影響は?
・Googleコアアップデートの歴史は?

中村 結衣

この記事はSEO中級者向けです
・ウェブサイト運営者
・SEO対策に取り組んでいる方
・Googleの歴史に興味がある方

フロリダ(Florida)アップデートとは

Google初のコアアップデート「フロリダ(Florida)」

フロリダ(Florida)アップデートは、2003年11月16日に行われました。

リンク分析に関するアルゴリズムの大規模アップデート(コアアップデート)です。これは、Googleが行ったアルゴリズムの初めてのコアアップデートでした。SEOスパム行為(ブラックハットSEO)によって上位表示されていたウェブサイト(スパムサイト)を排除し、検索順位を大きく変動させました。

コアアップデート名フロリダ(Florida)
アップデート日2003年11月16日
アルゴリズムの変更対象リンク分析に関するアルゴリズム
コアアップデート「Florida」の基本情報

Googleは1997年に最初の検索サービスを開始して創業しました。創業から6年が経ってから初めてのコアアップデートです。つまり、Google初期のアップデートのサイクルは非常に長かったのです。その後のコアアップデート情報は「アルゴリズムのコアアップデート」で確認できます。

なお、Googleからはコアアップデートに関する詳細な内容は公表されません。これは、フロリダアップデートも同じです。このため、実際のフロリダアップデートの正確な情報を知ることはできません。しかし、多くのSEO関係者による研究では次のような施策が行われたとされています。

リンク分析(統計リンク分析)

フロリダアップデートは、被リンク重視のペイジランクに一定のルールを適用しました。リンク分析によって悪質なスパム行為を行うサイトの評価を下げる措置が取られました。トピックと関連性の無いサイトからのリンクの一部が無効になっています。

このアップデートは、検索エンジンに統計分析を用いた初の事例と予測されています。つまり、スパムリンク発見のために、アルゴリズムに統計分析が採用されました。

統計分析とはウェブサイトの特徴をグラフ上に表すものです。外部リンクの平均量や、外部リンクの割合などが指標として用いられたとみられます。(出典:Search Engine Journal

ワードサラダの軽減

この当時のSEO対策は、ワードサラダが多用されていました。ワードサラダは別名、キーワードスタッフィングとも呼ばれます。検索エンジン最適化(SEO)のひとつです。

ワードサラダは、1つのページに文脈に関係なく大量にキーワードを記述します。特定のキーワードで検索結果の上位を獲得することが目的です。現在ではスパム行為に該当しますが、当時は一般的なSEO対策でした。フロリダアップデートには、このワードサラダを軽減するための措置が含まれます。

しかし、フロリダではワードサラダの完全な排除には至っていません。ワードサラダの完全排除は、ペンギンアップデートで実現しています。

フロリダ(Florida)の検索結果への影響

フロリダアップデートの検索結果への影響は非常に大きいものでした。検索上位が常連だったウェブサイトが数多く、検索結果から消えました。これはワードサラダなどのブラックハットSEOを実行していたためです。

これによりコンテンツ重視のウェブサイトが、検索結果の上位を獲得しました。現在では常識となっているコンテンツSEOの重要性は、2003年の時点からGoogleが目指していた方針に沿ったものです。

しかし、このフロリダによるスパム認定は、悪質なサイト以外も排除しました。良質なコンテンツを提供していたサイトに対しても「誤判定」が数多く発生しました。良質なコンテンツを発信しつつも、当時のSEOの外部対策として常識だった被リンク増加策を行っていたサイトが、単なるスパムサイトと同じように検索結果から消滅してしまったのです。

SEOポータルでは、アルゴリズムのアップデートに負けない力強いSEO対策として、コンテンツSEOに取り組んでいます。企業のウェブサイト更新には、記事系コンテンツの執筆代行もありますので是非ご検討ください。

フロリダ(Florida)で廃業が続出!Googleの対応

フロリダアップデートは、クリスマスシーズンが迫った11月16日に実施されました。つまり、スパム認知を受けたウェブサイトは、クリスマス目前に検索流入を失いました。この結果、クリスマス商戦に参加できずに廃業した事例が数多く見られたそうです。

しかし、フロリダアップデートは不完全で、誤ったスパム認定を多く含みました。つまり、優良なウェブサイトが検索順位を大きく下げた事例が多発しています。

フロリダアップデートで消えたサイト

フロリダアップデートの影響を強く受けたのは、次のようなサイトです。

  • ウェブサイトへのアクセスが売り上げに直結するECサイト
  • インターネット上のみで営業しているオンラインカジノ
  • 宿泊やツアー情報を発信していた旅行関連サイト

これらのサイトは特に積極的にSEOを行っていました。このため、コンテンツが充実したサイトであっても、フロリダによる順位低下やインデックス削除の対象となったのです。

スパム行為の誤判定の影響

フロリダによるスパム誤判定の騒動は、Googleの影響度を示す結果となりました。コアアップデートが企業の業績にも大きな影響を及ぼすことを示す事例となりました。

Googleは誤判定で発生した社会的責任を強く感じたようです。その証拠に、2003年以降は2011年までの間、クリスマス商戦にかかる11月から年末の時期にはコアアップデートを行いませんでした。

なお、2011年にパンダアップデートが11月と12月に行われています。つまり、このGoogleの方針は終了したことが確認されています。

フロリダ(Florida)のリンク分析は今も現役で稼働

フロリダアップデートから20年以上が経過しても、依然としてフロリダでアルゴリズムに加えられたリンク分析は有効です。SEO関係者の間では「自然なリンクであること」が重要視されており、無関係なサイトからのリンクがSEOに悪影響を及ぼすと認識されています。

フロリダアップデートへの対処法

フロリダ・アップデートへの対処法として項目を列挙します。

  • 良質なコンテンツを提供すること(コンテンツSEOを実施する)
  • 過度なキーワードの詰め込みを行わない
  • 関連性のある自然なリンクを貼る
  • 隠しリンクや紛らわしいリンクを避ける
  • 検索エンジンを騙すクローキングをしない

Googleが行った初めてのアルゴリズムの大規模アップデート(コアアップデート)は、実社会にまで大きな影響を及ぼし、その後のGoogleのアップデートのタイミングにまで影響を与えました。この当時から既にGoogleは、良質なコンテンツを提供するウェブサイトを上位に表示するという目標を掲げており、その後の数多くのコアアップデートを行っていくこととなります。

投稿者プロフィール

佐藤 隆司(Takashi Sato)
佐藤 隆司(Takashi Sato)コンテンツSEOアドバイザー
サイト運営者やSEOコンサル会社向けにGoogleアルゴリズムなどの情報を発信。