ビッグダディ(Big Daddy)は、Google検索のインフラストラクチャーを改善し、検索結果の画面(SERP)の品質を改善したアップデートして知られていますが、検索順位への影響については不明な点が多いです。
ビッグダディ(Big Daddy)アップデートとは
ビッグダディ(Big Daddy)とは、2005年12月に公表され、2006年3月に実装が完了されたGoogleのアルゴリズムのコアアップデートです。2年前の2003年11月に実施されたフロリダ(Florida)アップデートで誤ってスパム認定した事業者が廃業に追い込まれる事態が多発したことを受け、ビッグダディでは事前にアップデート後の検索画面が公表され、ユーザーからのフィードバックを受け付けました。
コアアップデート名 | ビッグダディ(Big Daddy) |
アップデート日 | 2005年12月に公表、2006年3月29日に完了 |
アルゴリズムの変更対象 | インフラと検索結果画面の改善 |
Googleからの発表や言及によると、ビッグダディでは検索エンジンを稼働させるインフラストラクチャーを改善するとともに、検索結果の画面の表示を改善することを目的にしていたということです。ただし、詳細なアップデート内容に関するGoogleの公表はありませんので、どのような改善が行われたのかについては推測の域を出ません。
ビッグダディ(Big Daddy)の発表時の特徴
ビッグダディは検索結果の表示を大きく改善しましたが、このコアアップデートにはアルゴリズムの内容よりも発表時の流れに特徴があり、現在までに至るGoogleらしさを垣間見ることができます。主な特徴は次の3つです。
- パブコン2005のセッション終了後に非公式ミーティング
- テストサーバー2つのIPアドレスを公開
- フィードバックを受けてビッグダディを実装
当時のGoogleのスパム対策チームで責任者(リーダー)だったマット・カッツ氏が、公表の1年前にあたる2005年12月からインフラストラクチャーの改善に関するアップデートを少しずつ情報公開しており、2005年に開催された「パブコン2005」のセッション終了後にはカッツ氏を囲んでビッグダディについての非公式ミーティングが行われました。この非公式ミーティングの参加者たちは、別会場で行われている次のセッションに参加せず、ここに残りました。
ランチルームで行われた非公式ミーティングでカッツ氏は、「66.249.93.104」と「64.233.179.104」の2つのIPアドレスを用いて新しいインフラストラクチャーを実行する計画を明らかにしています。アップデート名「ビッグダディ(Big Daddy)」も、この非公式ミーティングの参加者のひとり(ジェフM)が子供からつけられたニックネームをカッツ氏が気に入ったことから名づけられました。
こうしてビッグダディは、SEOコミュニティからのフィードバックを受けながらアップデートが実行され、2006年3月29日に全てのサーバーに展開されました。このビッグダディでは、順位変動を伴う更新が少なかったこともあり、アップデートへの苦情はほぼ皆無だったそうです。
ビッグダディがGoogleサーチコンソールの生みの親?
ビッグダディを実装後の検索画面の表示がSEOコミュニティによって事前チェックされ、Googleに対しては数多くのフィードバックが寄せられました。この際に使用されたフィードバックのためのフォームとURL削除ツールは、Googleサーチコンソールの前身であるGoogleウェブマスターツールの基礎となりました。
Googleの検索結果の表示に関わる多くのデータが表示され、さまざまなSEOのための分析を行うことができるGoogleサーチコンソールは、このようなGoogleの歴史の中で生まれています。ビッグダディがGoogleサーチコンソールの生みの親と言っても過言ではないかもしれません。
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